資格の取得を目指している方に、ぜひ知ってもらいたいのが教育訓練給付金です。取得を目指すために通うべき講座にかかる費用のうち、一部について国が補助してくれます。
IT系スキルの習得など、専門的な訓練を受けるにあたって、教育訓練給付金の制度を活用できることを知っている人はあまり多くないかもしれません。しかし、教育訓練給付金は、訓練や資格の取得にかかる費用を大幅に軽減できるため、補助条件を満たしているのであればぜひ利用しましょう。
本記事では、最大で56万円の補助を受けられる教育訓練給付金について、細かく解説いたします。
教育訓練給付金とは、厚生労働省が運用する制度で、働きながら新たなスキルを身につけたいと考えている労働者を対象としています。特に、現在需要が高まっているIT系のスキルを身につけることで、最大56万円の補助金が出ると言われています。この制度の目的は、労働者が自身のスキルを向上させ、自己実現を果たすことを支援することにあります。
教育訓練給付金を活用することで、自己投資を行う際の負担を軽減することができます。特に、現在の職場でのキャリアアップや、新しい分野への挑戦を考えている方にとっては、大変有益な制度と言えるでしょう。
対象となる資格は多岐にわたります。具体的には、以下のとおりです。
行政書士、司法書士、弁護士
ファイナンシャルプランナー、簿記検定、税理士、公認会計士、
証券アナリスト
社会保険労務士、中小企業診断士、
プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル
情報処理技術者、マイクロソフト認定資格、Microsoft Office Specialist
医療事務検定、医療秘書技術検定、医療事務管理士、調剤事務管理士
ここに記載した資格は、全体のごく一部に過ぎません。実際にはより多くの資格が対象となっています。
給付金は、厚生労働省が指定する教育訓練コースを受講し、卒業すると受け取ることができます。ITスキルの習得だけでなく、他の分野でのスキルアップにも活用することができます。しかし、給付金を受け取るためには、一定の要件を満たす必要があります。給付金の種類によって異なるので、これから詳しく見ていきましょう。
教育訓練給付金には、専門実践教育訓練と特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類があります。それぞれについて細かく見ていきましょう。
介護福祉士や社会福祉士など、取得するのに最大で3年間の訓練を必要とする専門性の高い資格を対象としているのが、専門実践教育訓練です。
支給の対象となるのは、以下2つのうちどちらかに該当する方のみとなります。
・雇用保険の被保険者:
訓練の受講開始日に支給要件期間が3年以上ある雇用保険の被保険者
・以前雇用保険の被保険者だった:
訓練の受講開始日に被保険者ではなく、被保険者でなくなってから訓練の受講開始日までが1年以内で、支給要件期間が3年以上ある
どちらかに該当していれば、訓練施設に支払った費用のうち50%を受け取れます。なお、年間の上限は40万円となっているので気をつけましょう。
上記の金額に加えて、訓練が修了してから1年以内に目指していた資格を取得して被保険者として雇用されると、さらに20%が受け取れます。合計して70%、上限は56万円です。
教育訓練給付金は、教育訓練や資格取得のための講座を受けるのにかかる費用を先に自分で支払い、修了してから申請をして給付を受けます。
専門実践教育訓練で重要となるのが、ジョブ・カードです。ジョブ・カードは、「生涯を通じたキャリア・プランニング」のツールです。ジョブ・カードには、学歴や職歴に加えて、職業訓練の経験や免許、資格など、より掘り下げた内容を記載します。
※参考:厚生労働省 専門実践教育訓練の指定講座
※参考:厚生労働省 特定一般教育訓練の指定講座
教育訓練給付金のメリット、そしてデメリットについて順番に見ていきましょう。
教育訓練給付金を利用すれば、ITスキルの習得や資格取得にかかる高額な料金の負担を大幅に減少させることができます。この給付金のサポートで、多くの人々が経済的な負担を気にすることなく、高品質な教育やトレーニングを受けることが可能です。
直接、専門家の指導を受けることにより、スキルの習得スピードや理解が向上します。この経験は、より高いレベルの職種への転職や、起業といったキャリアアップをサポートするための土台となります。
給付金のシステムは、出席日数に応じて支給額が変わるという特徴があります。これは受講者のモチベーションを高め、継続的な学びを奨励します。さらに、受け取った知識や技術を実務で使うための期間が設けられており、実際の現場での経験を深められるのです。
これらの要点を考慮すると、教育訓練給付金は、IT関連のスキルや資格を追求する人々に対して大きな支援となる制度であるといえます。
給付金は資格や訓練の修了後に申請するため、最初の費用は自分で支払う必要があります。そして、途中で資格や訓練を修了できなかった場合、給付金の申請はできません。
また、一部の訓練には年齢制限が設定されているため、全ての方が教育給付金を受け取ることは難しいかもしれません。
給付金の支給は出席日数に依存しており、出席率が80%を下回ると支給されない点にも注意が必要です。
さらに、給付金を受け取るためには指定された教育訓練コースの受講と一定期間の就労が必要です。この条件を満たすことが難しい場合もあるでしょう。
給付金の申請や受け取りに関する手続きには一定の手間が伴います。
メリットばかりではないので、こうしたデメリットにも考慮が必要です。
教育訓練給付金を実際に受給する流れについて、順を追って見ていきましょう。
教育訓練給付金を受けるにあたり、手続きの窓口となるのはハローワークです。まずは、目指す訓練や資格を選び、ハローワークに申し込みます。このとき、教育訓練給付金の受給資格があるかどうかも確認しておくとよいでしょう。給付の対象となる訓練や講座の探し方については、後述します。
訓練や講座を受けるにあたり、かかる入学金や授業料といった費用は、先に自分で支払う必要があります。十分な資金を用意しましょう。また、特定一般教育訓練および専門実践教育訓練の場合はこの段階でコンサルティングを受けてジョブ・カードを作成する必要があるため、同様にハローワークで申し込みます。
申し込みが済んだら、実際に講義を受講します。訓練や講座が修了したら、修了証明書と受講料の領収書を必ず受け取って大切に保管しておきます。これらは、支給に必要な重要な書類です。
訓練や講座を修了して必要な書類が揃ったら、ハローワークで支給のための申請を行いましょう。
必要な書類は以下の通りです。
このほかにも、キャリアコンサルティングの費用について支給の申請をするには、コンサルティングについての領収書や記録、証明書が必要となります。
受講を修了した翌日から1か月以内が申請の提出期限なので、必ず期日までに手続きを済ませましょう。
教育訓練給付金の支給対象となるのは、厚生労働大臣の認可を受けている訓練や資格に限定されます。そのためには、厚生労働大臣指定教育訓練講座に指定されているスクールを探すことが必要です。
マナビタイムでは、教育訓練給付金の支給対象となる訓練や資格について調べられるデータベースを管理しています。
「給付金対象」コースで絞り込み検索ができます。また「職種で探す」や「スキルで探す」など多様な絞り込みができるので非常に便利です。
教育訓練給付金の支給を希望するにあたって、多く見られる質問についてご紹介します。
教育訓練給付金は、幅広い分野の講座で活用可能です。新たなスキル獲得に挑戦するもよし、得意なスキルをさらに伸ばすもよし、上手に活用して、キャリアアップを目指しましょう。