【日本政府の推し】リカレント教育で稼げるIT業界へキャリアチェンジ!

【日本政府の推し】リカレント教育で稼げるIT業界へキャリアチェンジ!

高校や大学を卒業した後、社会人としての第一歩を踏み出すことで、多くの方が学びの場を卒業すると同時に勉強からも一旦離れることになります。

しかし、時代が移り変わるにつれて、業務遂行に必要とされる知識やスキルは絶えず進化し、より高度なものへと変貌を遂げています。そのため、ビジネスの世界で長期にわたって成功を収めるためには、学習を継続し、知識やスキルのアップデートを怠らないことが不可欠です。

このような背景の下、社会に出てからでも教育の機会に再び触れることができる「リカレント教育」という制度が、多くの注目を集めています。これは、育児や介護でキャリアに空白期間が生じた方々、あるいは現職から一歩踏み出し、スキルアップを望む人々にとって、新たな学びの道を拓く貴重な機会と言えるでしょう。


本記事では、リカレント教育の重要性や国の支援事業など、リカレント教育について解説していきます。

リカレント教育とは

「子育てや介護で仕事を離れるため、この機会にスキルを学び直したい」「今の仕事を辞めて、成長分野の仕事に転職したい」方におすすめなのが、リカレント教育です。


リカレント教育とは


リカレント(Recurrent)には、英語で「循環する、繰り返す」という意味があり、政府広報オンラインは、リカレント教育を「学校教育からいったん離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すこと」と定義しています。
引用元:政府広報オンライン「学び」に遅すぎはない!社会人の学び直し「リカレント教育」

つまりリカレント教育は、すでに就職して社会人になった方が、新たなキャリアを築くために学び直しをすることを意味します。

最近はChatGPTなど、AIを活用したサービスが次々と登場し、「自分の仕事がなくなるのでは?」と不安を抱く人も増えてきました。自分のキャリアが不安になったときこそ、リカレント教育の出番です。

リカレント教育を受け、大学や大学院で専門的な分野を学び直せば、新たなキャリアにふさわしいスキルを身に付けることができます。今後成長していく分野でキャリアを再形成したい方は、リカレント教育を受けることを検討しましょう。


生涯教育やリスキリングとの違い


リカレント教育とよく似た言葉に「生涯教育」や「リスキリング」があります。


リカレント教育とよく似た言葉の違い


生涯学習は、リカレント教育よりも広い意味を持つ言葉です。リカレント教育では、新たなキャリアを築くことを目的として知識やスキルを学びますが、生涯学習はそれ以外の内容も含まれます。例えば、文化やスポーツ、趣味、娯楽、ボランティア活動など、自分が興味を持つ事柄を生涯に渡って学んでいくのが生涯学習です。

一方でリスキリングは、現在の仕事をつづけながら、自分の知識やスキルを学び直す取り組みを指します。


リカレント教育の重要性が高まる背景

リカレント教育への関心が高まっている背景として、健康で長生きする期間が伸びる「人生100年時代」の到来が挙げられます。厚生労働省が発表した「人生100年時代に向けて」のデータによると、2007年に生まれた日本の子供たちのうち半数は、107歳より長く生きると推測されています。


これまでは学校を卒業し、就職し、定年退職するという伝統的な3ステージの流れで人生を送ることが一般的でした。しかし、今や「人生100年時代」に突入し、私たちはこれまでよりも長く企業との関係を持続させることが普通になりつつあります。それにより、生涯にわたるキャリアの形成は、以前にも増して複雑なものへと変化しているのです。


例えば、働き方改革が進んだことで、起業やフリーランス、複数の仕事を掛け持ちする「ポートフォリオ型」など、一つの企業にとらわれない新しい働き方が登場しました。また、終身雇用制度の崩壊によって、雇用の流動化が進み、積極的に転職やキャリアアップを検討する人も増えています。

このように選択肢が大きく広がった結果、長い人生の途中で、キャリアの変更を決断する方が増加しました。

従来の人生モデルと人生100年時代の人生モデル


そこで重要性が高まったのが、「社会人になってからの学び直し」をするリカレント教育です。リカレント教育によって、ライフステージの変化に応じて必要なスキルを学び直し、その時々の自分に合った新しい働き方を見つけることが可能です。

また、AIなどの先端技術が普及したことも、リカレント教育が注目を集める理由の一つです。すでに仕事の一部は、AIを活用した便利なサービスに取って代わられ、キャリアの途中で職を失う可能性のある人が出ています。

その一方で、AIを活用する仕事など、先端技術に関わる新しい雇用も生まれています。リカレント教育やリスキリングは、将来的に職を失う可能性のある人が、成長分野のキャリアに転身する手段の一つです。大学や大学院では、AIやIoT、データサイエンスなど、先端技術に関わるリカレント教育のプログラムを提供しているため、社会人になってからも充分に学び直す機会があります。

成長分野の仕事に携わり、キャリアを築き直したい方は、「リカレント教育」にチャレンジしてみましょう。

リカレント教育の現状と課題

リカレント教育の現状と課題

リカレント教育への注目が集まる一方で、日本以外のOECD加盟国と比べると、日本のリカレント教育はあまりうまくいっていません。内閣府の資料によると、日本はリカレント教育の効果や学習機会などの面で、国際的に低い水準にとどまっていることが分かります。

リカレント教育の評価項目 日本の順位
緊急性の低さ(教育の改善に取り組むことの緊急性の低さ) 34カ国中21位
効果(教育の効果がどれだけあるか) 34カ国中33位
学習への参画(個人や企業がどの程度、教育に参加・参画しているか) 32カ国中26位
ニーズ(教育が労働市場のニーズに合致しているか) 31カ国中31位
包括性(教育の機会がどの程度包括的か) 29カ国中21位
柔軟性(教育機会を柔軟に得ることができるか) 34カ国中33位


リカレント教育にかかる費用や時間などの課題から、大学や大学院で学ぶ社会人の割合も多くありません。例えば、25歳以上で大学の学士課程へ入学した人の割合は、わずか2.5%にとどまっています。


大学・大学院への入学者割合(2018年) 日本 OECD平均
25歳以上の学士課程 2.5% 16.0%
30歳以上の修士課程 13.2% 26.0%
30歳以上の博士課程 43.8% 43.4%


また、大学や大学院などで学んだ内容が労働市場のニーズに合致しておらず、リカレント教育が仕事に活かされていないのも問題です。例えば「教育が労働市場のニーズに合致しているか」という観点で見ると、日本のリカレント教育の質は31カ国中最下位で、再就職などにほとんど役立っていません。

こうした現状を受けて、厚生労働省や経済産業省、文部科学省は、リカレント教育の推進に向けた取り組みをスタートしました。


参考:内閣府「リカレント教育の現状

国が実施しているリカレント教育のための施策

国が実施しているリカレント教育のための施策

上述した通り国は社会人の学び直しの機会を増やすため、厚生労働省や経済産業省、文部科学省で役割分担しながら、リカレント教育の充実に向けた施策を行っています。ここでは、各省庁の取り組みを簡単に紹介します。


厚生労働省の取り組み


厚生労働省は、労働者がリカレント教育などの職業能力開発を受けるための環境づくりや、その後の再就職に向けた雇用のサポートを行っています。厚生労働省の取り組みは、大きく分けて4つあります。


取り組みサポート内容
一人ひとりのライフスタイルに応じたキャリア選択の支援
  • キャリアコンサルティングの充実(「セルフ・キャリアドック」導入支援等)
労働者・求職者のリカレント教育機会の充実
  • IT理解・活用力習得のための職業訓練の開発・実施
  • 雇用保険に加入できない短時間労働者等への職業訓練コースの充実、訓練時間の下限見直し
  • 企業がeラーニングを活用して従業員に対して行う教育訓練への助成
  • 教育訓練給付の拡充(専門実践教育訓練給付の対象講座拡大、特定一般教育訓練についての指定基準の創設)
  • 教育訓練の指導人材の育成
学び直しに資する環境の更なる整備
  • 長期の教育訓練休暇制度を導入した企業への助成
  • 新規かつ実践的で雇用対策として効果的で必要性の高い教育訓練プログラムの開発 等
転職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行の確立
  • 「年齢にかかわりない転職・再就職の受入れ促進のための指針」策定

参考:文部科学省「文部科学省におけるリカレント教育の取組について P3」


例えば、教育訓練給付を拡充し、労働者や求職者が気軽にリカレント教育を受けられる仕組みを用意しています。同時に教育訓練休暇制度を導入した企業に助成を行い、リカレント教育を受けた労働者の職場復帰を支援しています。


経済産業省の取り組み


経済産業省は、経済成長をつづけながら環境問題に取り組む「グリーン成長戦略」の一環として、大学教育にも力を入れています。グリーン成長戦略の14の重要分野の一つが、リカレント教育の推進を含めた「大学における取組の推進等」です。

例えば経済産業省は、「履修証明制度」を充実させて、社会人が学んだ成果を企業にアピールしやすくしています。また、大学院入学前の「単位認定制度」の拡大によって、取得単位として認められる項目が増加し、社会人がもっとリカレント教育を利用しやすくなるような環境の整備に取り組んでいます。

在学期間の短縮も、経済産業省が予定している取り組みの一つです。将来的には企業の教育訓練休暇制度などを利用し、リカレント教育を短期間で修了できる環境が整えられていくことが期待されます。


文部科学省の取り組み


文部科学省は社会人の学び直しを応援するWebサイト「マナパス」を開設し、リカレント教育についての情報を網羅的に発信しています。

例えば、マナパスの検索画面から、リカレント教育を受けられる大学や専門学校を探すことが可能です。合計4,000以上の講座の中から、興味関心のある分野、取得できる資格、給付金や奨学金の有無、土日や夜間の講座など、さまざまな条件で検索できます。


また、女性の学び直し、氷河期世代の学び直し、シニア世代の学び直しなど、テーマ別の特集ページを作成し、おすすめの講座やキャリアプランなどを紹介しています。

リカレント教育に対する支援制度

リカレント教育に対する支援制度

厚生労働省は、リカレント教育に関するさまざまな支援制度を推進しています。


支援制度詳細
教育訓練給付金 対象の講座を終了した方を対象として、受講費用の一部が支給される
高等職業訓練促進給付金 ひとり親(シングルマザーなど)の方を対象として、看護師などの国家資格や、デジタル分野の民間資格を習得するための費用が支給される
キャリアコンサルティング 在職者の方を対象として、今後のキャリアプランについての相談を無料で行える
公的職業訓練(ハロートレーニング) 主に離職者を対象として、無料の職業訓練が提供される


個人を対象とした給付金として、教育訓練給付金や高等職業訓練促進給付金などがあります。教育訓練給付金は受講費用の20%~70%、高等職業訓練促進給付金は毎月10万円の支給を受けることが可能です。


リカレント教育でITスキルを学べる

リカレント教育で学べるのは、介護士や看護師になるための医療・福祉系や、会計やマーケティング、MBAなどのビジネス分野、英語や中国語といった語学など、さまざまな分野があります。

リカレント教育で学べる分野の中で、特に人気があるのがITスキルです。

  • AI
  • IoT
  • データサイエンス
  • プログラミング言語
  • 情報セキュリティ(サイバーセキュリティ)
  • ソフトウェア開発など


今後、企業が成長していく上で、AIやIoT、データサイエンスなどの先端技術が必要不可欠といわれる中、IT関連分野の担い手が足りていません。経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると試算されています。

そのため、AIやIoT、データサイエンスなど、ITスキルを持った人材は、雇用市場における需要が高くなっています。大学や大学院も、ITスキルに関連したカリキュラムに力を入れており、さまざまな機関でリカレント教育を受けることが可能です。

AIやIoTの需要が高まる「IT時代」で活躍したい方や、未経験からIT分野に挑戦したい方は、リカレント教育によってITスキルを学びましょう。


参考:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果 P7」

リカレント教育の例

リカレント教育の概要や国が実施している取り組みについては、なんとなく理解できたかと思います。

ここからはリカレント教育でスキルアップできる姿をイメージできるように具体的な事例を紹介していきます。実施する内容は年度によって変更される可能性がありますので、あらかじめご注意くださいね。


京都大学の取り組み


京都大学は、「データサイエンス・スクール」や「データ分析に役立つ統計基礎講座」、「人工知能を学ぶための数学超速入門」など、データサイエンスや統計、AI(人工知能)などの分野の講座が充実しています。講義動画をダウンロードするオンデマンド授業の他、リアルタイムに講義を受けられるオンライン授業も採用しているのが特徴です。統計やデータサイエンスの講義では、統計検定などの資格習得も目指します。

東京大学の取り組み


東京大学も社会人向けのデータサイエンス・スクールを開講しており、スキルレベルに合わせた講座を受講可能です。また、今後市場の拡大が見込まれるサーキュラーエコノミー(サブスクリプションサービスやシェアリングサービスなど)をテーマとした講義もあり、最新のビジネスモデルを事例付きで学べます。

早稲田大学の取り組み


私立大学の中では、早稲田大学もリカレント教育が充実した大学の一つです。実践的なデータサイエンスを学べる「データサイエンス実践講座」の他、最先端のAIやIoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティングを学び、イノベーションに活かす「IoT/AIコース」や「DXコース」が人気を集めています。授業はグループ形式で行われ、アジャイル開発の手法を実際に体験することも可能です。

リカレント教育の成果を活かす3つのポイント

リカレント教育の成果を活かす3つのポイント

リカレント教育を受けた後は、成果を今後に活かしていかねばなりません。ただ学んで終わりになってしまわないように、リカレント教育の成果を活かすポイントは3つあります。


  • スキルの詳細を職務経歴書に明記する
  • 学んだ内容を具体的な表現でアピールする
  • 第三者に証明可能な資格を取得する

リカレント教育を修了したら、習得した資格やスキルを職務経歴書に明記しましょう。例えば、PythonやJava、SQL、JavaScriptなどのプログラミング言語を習得した場合は、「どの程度使いこなせるか」を含めて具体的に記載するのが大切です。

例えば、


  • Python 3 エンジニア認定データ分析試験に合格し、Pythonでデータ分析を行うためのスキルを身に付けた
  • HTML5プロフェッショナル認定試験に合格し、HTML5やJavaScriptでWebサイトを制作するスキルを習得した


というように「何を学び、どう活用できるのか」をイメージできるように記載しましょう。
また、リカレント教育で資格習得を目指す場合は、MicrosoftやOracleなどの企業が運営している資格や、プログラミング言語に関連した資格など、第三者に証明可能な資格がおすすめです。

リカレント教育の重要性を知り、転職や職場復帰に活かそう

「人生100年時代」が到来し、これまでよりも複雑なキャリアを形成する人が増えました。ビジネスパーソンとして生涯現役で活躍するには、ライフステージの変化に対応し、必要な知識やスキルを学び直すことが大切です。


日本政府もリカレント教育の重要性に注目しており、厚生労働省などがさまざまな支援制度を推進しています。教育訓練給付金や高等職業訓練促進給付金などを活用しながら、自分に合った知識やスキルを学びましょう。


リカレント教育は、一度仕事から離れて、大学や専門学校などで専門知識を学び直すプログラムです。子育てや介護で休職中の方や、転職してキャリアアップをしたい方に向いています。


またIT業界は高収入を実現しやすいとされており、日本の平均年収を大きく超える職種がたくさんあります。リカレント教育で学べるスキルを活かして、この機会に高収入を狙えるIT業界に進出するのも一つかもしれません。教育訓練給付金対象のコースでITスキルを学べば、金銭的な負担も少なく新たな一歩を踏み出すことができますよ。


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