データサイエンティストに役立つ資格10選|おすすめの勉強法は?

データサイエンティストに役立つ資格10選|おすすめの勉強法は?

データサイエンティストとして働くうえで、必須の資格があるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

結論から述べると、データサイエンティストは資格がなくても目指せる職種です。

しかし、求められるスキルが多い職種であることから、関連資格の保有者は就職・転職で有利になったり、年収アップ交渉がしやすかったりすることも事実です。

当記事では、データサイエンティストとして活躍したいという方が取得を目指すべき10の資格を紹介します。資格取得のメリットや、資格取得に向けたおすすめの勉強法も説明しているため、ぜひ参考にしてください。

データサイエンティストとは?

データサイエンティストとは?

データサイエンティストとは、企業が持つデータをもとに問題の原因を探り、課題解決へのサポートを担う職種です。
企業の膨大なデータを扱うため、IT関連スキルや情報を効率よく処理していく能力が必要です。

また、問題を見つけて終わりではなく、課題として具体的に何を改善すればいいのかを提案しなければなりません。
つまり、データサイエンティストにはコンサルタント業務も含まれるため、ビジネス関連の知識を備えておく必要があります。

データサイエンティストの仕事内容


データサイエンティストの仕事内容は、下記の通りです。

●問題の発見と課題解決方法の立案

データサイエンティストは、企業が抱えている課題を明確にしなければなりません。

どういった問題に悩んでいるかを知るためにも、まずは企業にヒアリングし、現状の把握に努めます。その後は、ヒアリング内容をもとに問題の仮説を立て、仮説について再びヒアリングするという作業の繰り返しです。

仮説をいくつも話し合い、徐々に課題の精度を高めていきます。


●データ収集と前処理

課題を明確にしていくために、根拠となるデータを収集します。

この時、企業データを調査していく中で、フォーマットの不揃いやデータ欠損を発見することもあるでしょう。闇雲にデータを集めても効率よく作業を進められないため、「前処理」も一緒に進めます。

前処理とは、データを扱いやすいように加工を施す作業です。
具体的には、データを整理できるようにデータベースを用意したのち、フォーマットを統一させたりプログラムを組んだりすることで、後工程をスムーズに進められるようにします。


●環境設定とデータ分析

散らばったデータの収集・前処理が完了したら、続いて環境設定に進みます。

仕事前にデスク周りを綺麗に整えるようなイメージでデータベースを構築するなど、運用に適した体制を整えていく作業です。環境が整い次第、データ分析へと移行します。

データ分析を実施する際は、目的に合った手法を選ぶことが重要です。例えば、分析手法には以下のようなものがあります。

  • クラスター分析:集団の中から類似データ同士をグループ分けする手法
  • 回帰分析:結果数値と要因数値を出し、両者の関係を明確にする分析
  • 時系列分析:年・季節など、時系列データを分析する手法
  • ABC分析:複数のデータを重要度ごとに分類してから分析する手法

データ分析は、一度で終わる作業ではありません。仮説と検証を繰り返していきながら、課題を正確かつ明確にしていくことが大切です。


●分析結果の検証・評価

次に、分析結果と仮説が一致するかを検証する作業です。

仮説が正しいと判断できれば次のステップへ、仮説が間違っているとなれば、もう一度仮説を立て直して検証となります。


●分析結果の資料作成・共有

分析結果と仮説が結びつき、課題の明確化・解決策の立案に成功したら、これまでの内容を資料にまとめて社内メンバーやクライアントに共有します。

資料は複数人が目を通すため、図やグラフを用いるなどして誰が見ても分かりやすいように工夫をすることが大切です。


データサイエンティストとデータアナリストの違い


データサイエンティストは、分析モデルの構築に重点を置いている職種です。IT関連について専門性の高い知識・スキルを持ち、データ分析の際はデータの欠損を直したり、今後も効率よくデータを引き出せるようなシステムを構築したりします。

一方、データアナリストはデータ分析の結果をもとにビジネスの課題改善に尽力をする職種で、ビジネススキルやコミュニケーションスキルを兼ね備えているのが特徴です。

両職種とも、企業のビッグデータを扱い、データ分析の結果から課題解決を目指す点で一致しており、企業においても類似した位置づけとなります。

しかし、データサイエンティストは「技術者寄り」、データアナリストは「コンサル寄り」という違いがあるため、求人を探す際は仕事内容を十分に確認をし、希望職種がどちらに該当するかを見極めることが大切です。

データサイエンティストに役立つ資格10選

データサイエンティストに役立つ資格10選

データサイエンティストに関連する資格を取得すると一定のスキル・知識があることを証明できます。幅広い業務を任せてもらえたり、年収アップ交渉がしやすかったりなど多くのメリットを実感できるようになるでしょう。

そこで次に、データサイエンティストに役立つおすすめの資格を10個紹介します。

データサイエンティスト検定


データサイエンティスト検定は、一般社団法人データサイエンティスト協会が2021年に実施を開始した検定です。
データサイエンティストに必要な統計学、データ加工、機械学習、データ分析といった幅広い知識・スキルが問われます。スキルレベルが星4つに区分けされているのが特徴です。


データサイエンティスト検定
運営 一般社団法人 データサイエンティスト協会
受験料(税込)
11,000円
難易度
合格率:50〜70%程度
合格ライン
正答率:80%程度
受験方法
CBT
年2回(春・秋)

(参考:データサイエンティスト検定 リテラシーレベル


データサイエンティスト検定に合格すると、仕事に必要な基本知識・スキルを備えていると証明できるため、データサイエンティストへの就職・転職を検討している方にとって有利に働きます。

基本情報技術者試験


基本情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催している試験です。

「ITエンジニアの登竜門」とも呼ばれ、IT関連サービスに携わる者として、基本的な知識や技能を持っていることを証明できる資格となっています。

さらに、上位者の指導があれば問題なく業務ができるレベルにあると証明できるため、就職・転職の際に未経験者と大きな差をつけられるでしょう。


基本情報技術者試験
運営 IPA独立行政法人 情報処理推進機構
受験料(税込)
7,500円
難易度
合格率:25%前後
未経験者でも受験可能だが、十分に時間をかけて勉強する必要がある
合格ライン
60点以上/100点満点
受験方法
CBT
随時

(参考:基本情報技術者試験ドットコム


基本情報技術者試験は、IT関連資格の中でも入門編のような位置づけにある資格です。難易度はさほど高くはないため、しっかり勉強すれば未経験者でも合格を目指せるでしょう。

データベーススペシャリスト試験


データベーススペシャリストは、データベースに関係する知識を問う国家資格です。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催しており、データベースの企画、要件定義、開発、運用、保守といった業務に従事している方を対象としています。


データベーススペシャリスト試験
運営 IPA独立行政法人 情報処理推進機構
受験料(税込)
7,500円
難易度
合格率:15%前後
合格ライン
午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱすべてにおいて100点満点中60点以上
受験方法
CBT
年1回

(参考:データベーススペシャリスト試験


ある程度の実務経験を持ち、下位者の指導を担当する立場にある方を対象としているため、試験の難易度も高めです。情報処理技術者試験の中でも最高難易度となっており、保有していることで高いスキルの持ち主であることをアピールできます。

OSS-DB技術者認定試験


OSS-DB(オープンソースデータベース)技術者認定試験は、特定非営利活動法人LPI-Japanが実施している民間資格試験となります。オープンソースデータベースの知識・技術があると証明できるため、システムの構築や運用といった業務に携わりたい方におすすめです。

さらに、IT業界においてオープンソースデータベースへの移行が増えている傾向にあることから、将来性の高さもうかがえます。

転職や昇給・昇格にも有利に働く資格として注目されているため、持っていて損はないでしょう。


OSS-DB技術者認定試験
運営 Linux Professional Institute(LPI)
受験料(税込)
16,500円
難易度
合格率:非公開
合格ライン
ゴールド:70点以上/100点満点
シルバー:64点以上/100点満点
受験方法
CBT
(参考:LPI-Japan OSS-DB「OVERVIEW 試験概要」

難易度はシルバーとゴールドの2種類あり、シルバーはオープンソースデータベースに関する基礎知識、ゴールドは専門知識を問う内容となります。ゴールドに認定されるためにはシルバーの保有が必要となるため、最初にシルバーに挑戦してからゴールドにステップアップしていくといいでしょう。



オラクルマスター


オラクルマスターは、日本オラクル社が主催する民間資格です。

オラクルは世界トップシェアを誇るデータベースのため、オラクルマスターを取得することで有名データベースを扱える技術を有することの証明ができます。

さらに、オラクルマスターの資格を学習するにあたり、データベースの基礎を学ぶことが可能です。就職・転職において、1つのアピールポイントとなるでしょう。


レベル別試験内容
認定レベル認定資格求められる知識
Bronze(ブロンズ)ORACLE MASTER Bronze DBA 2019IT業界でシステム開発をするのに最低限必要な知識水準
Silver(シルバー)ORACLE MASTER Silver DBA 2019
ORACLE MASTER Silver SQL 2019
PGやSEの業務がおこなえのレベルの知識
Gold(ゴールド)ORACLE MASTER Gold DBA 2019DBAとしてオラクルを運用するのに必要な知識が中心
Platinum(プラチナ)ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c実務でオラクルのDBAとして働いている方が対象の資格
(参考:日本オラクル社「ORACLE MASTER Portal」

オラクルマスターには4つのステップがあり、下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナと上がっていく仕組みです。合格率は非公開で、明確な難易度は公表されていません。




統計検定


統計検定は、一般財団法人統計質保証推進協会が実施している資格です。

統計に関する知識、活用力、評価する力を問うもので、データ分析の結果から課題を明確にしていく必要があるデータサイエンティストにおいて重要度の高い資格といえます。


統計検定
運営 一般財団法人統計質保証推進協会
受験料(税込)
4級:5,000円
3級:6,000円
2級:7,000円
準1級:8,000円
1級:12,000円
難易度
4級合格率:72.8%
3級合格率:75.6%
2級合格率:34.1%
準1級合格率:23.6%
1級合格率:(統計数理)25.8%、統計応用)24.0%
合格ライン
4級:60点以上
3級:65点以上
2級:60点以上
準1級:60点以上
1級:ー
受験方法
受験会場で年2回実施

(参考:統計検定公式サイト「受験データ」※合格率は2021年の結果から算出)


統計検定のレベルは、4級、3級、2級、準1級、1級の5段階です。2級までが基礎的な内容、準1級以上が応用的な内容となっているため、データサイエンティストとして活躍したい方は準1級以上を目指すと企業から求められる存在となれるでしょう。

Python3エンジニア認定データ分析試験


Python3エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が運営している資格です。

Pythonは汎用性が非常に高いプログラミング言語のため、データサイエンティストにとって必須といっても過言ではありません。資格を持っていることで、Pythonを用いた仕事に対応できるという明確な証明につながります。


Python3エンジニア認定基礎試験
運営 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会a>
受験料(税込)
11,000円
難易度
合格率:約80%
合格ライン
正答率:70%以上
受験方法
CBT
級によって会場・日程は異なる

(参考:日本資格取得支援 Python3 エンジニア認定基礎試験


Python3エンジニア認定データ分析試験は、ある程度Pythonの使用経験があれば、十分に合格を狙えるレベルの試験です。

しかし、Pythonに慣れていないと少しハードルが高く感じられてしまうため、合格できるか不安な場合はワンステップ下げて、「Python3エンジニア認定基礎試験」から挑戦してみるといいでしょう。



G検定・E資格


G検定・E資格は、一般社団法人日本ディープラーニング協会が実施している資格試験です。

AI技術に関する知識が問われる試験で、将来性が高いAI分野の資格を持っていることで、就職・転職に有利に働くでしょう。
また、G検定・E資格保有者を優遇する企業も多くなっているため、IT企業に在職している場合は一目置かれる存在となれる可能性も高いです。


G検定
運営 一般社団法人日本ディープラーニング協会
受験料(税込)
13,200円
難易度
合格率:約60〜70%
合格ライン
正答率:約70%
受験方法
CBT
年数回実施

(参考:G検定とは



E資格
運営 一般社団法人日本ディープラーニング協会
受験料(税込)
一般:33,000円
学生:22,000円
会員:27,500円
難易度
合格率:約60〜70%
合格ライン
正答率:非公開
受験方法
年数回、試験会場で実施

(参考:「E資格(エンジニア資格)2023#2」結果発表とシラバス改定のお知らせ


なお、G検定はビジネス向け、E資格はエンジニア向けの傾向があります。データサイエンティストはどちらの要素も業務に必要となるため、両方取得しておくのがおすすめです。ただし、E資格はG検定とは異なり、受験資格が設けられています。内閣府が定めたJDLA認定プログラムを2年以内に受講しておく必要があるので、事前に詳細を確認するとよいでしょう。

AWS認定ソリューションアーキテクト


AWS認定ソリューションアーキテクトは、AWSというサービスに対する知識があると証明できる資格です。

クラウドコンピューティングの中でも特に人気の高いサービスの理解があることを証明できるため、企業やクライアントに対して信頼を得やすくなります。


AWS認定
運営 Amazon Web Services, Inc.
受験料(税込)
FOUNDATIONAL:12,100 円
ASSOCIATE:16,500 円
PROFESSIONAL:33,000 円
SPECIALITY:33,000 円
難易度
合格率:非公開
合格ライン
FOUNDATIONAL:700点以上
ASSOCIATE:720点以上
PROFESSIONAL:750点以上
SPECIALITY:750点以上
受験方法
CBT
随時
(参考:AWS「AWS Certified Solutions Architect - Associate」

AWS認定ソリューションアーキテクトのレベルは、「アソシエイト」「プロフェッショナル」の2種類です。アソシエイトはAWS認定資格の中でも中級レベルに位置し、プロフェッショナルは上級レベルとなります。




データサイエンティストが資格を取得するメリット

データサイエンティストが資格を取得するメリット

資格の取得には、お金や時間を要します。それでも資格を取得した方が良いメリットは以下の3つです。



  • 就職・転職において有利に働く
  • キャリアアップを図れる
  • 資格手当がつく可能性がある

資格は、どの程度の知識・スキルを保有しているかの証明だけでなく、IT関連の仕事をするために努力したこと自体を証明できるため、就職や転職の際に大きなPRポイントとなるでしょう。

もしもIT業界に身を置く方であれば、資格を取得することで新たな業務にも携わるチャンスができ、キャリアアップにもつながります。資格手当のある企業であれば、年収アップも可能です。

このように、データサイエンティストが資格取得をすることには、数多くのメリットがあります。

資格取得に向けたおすすめの勉強法

資格取得に向けたおすすめの勉強法

データサイエンティストに役立つ資格は、全体的に難易度が高い傾向にあります。自分でテキストや書籍を購入し、働きながら独学するのは少々難しいでしょう。

そこでおすすめしたいのが、スクールでの勉強です。

スクールであれば着実に知識を身につけられるため、努力の仕方を間違える心配がありません。さらに、スクールによってはオンライン講座や夜間授業を設けており、忙しい社会人でも働きながら無理なく受講できます。

まとめ

データサイエンティストに役立つ資格には、数多くの種類があります。

資格保有による知識・スキルの証明ができ、企業やクライアントへの信頼性を高めたり、自分に自信をつけたりできるため、積極的に資格取得を目指すのがおすすめです。

しかし、データサイエンティストに関連する資格は難易度が高く、独学で合格を勝ち取るには少々ハードルが高いと言えます。少しでも合格率を上げたい方は、スクールの活用を検討してみましょう。

IT関連の資格取得を目指せるITスクールはこちら

関連キーワード

関連する記事

都道府県から探す

pagetop