ITコンサルタントは、特別な資格がなくてもなれる職業です。しかし、資格を取得することで自身のスキルや知識を対外的にアピールでき、転職や昇進などの際に有利にはたらきます。また、資格の勉強を通じて、ITコンサルタントに求められるスキルや知識を習得できるのもメリットです。
しかし、ITに関する資格は種類が多く、どれを取得すべきか迷ってしまう方も多いでしょう。
この記事では、ITコンサルタントを志す方や、ITコンサルタントとしてのスキルアップや独立を目指す方に向けて、役立つ資格を13個紹介します。取得するメリットや効果的な勉強法もわかるため、ぜひ参考にしてください。
ITコンサルタントになるにあたって、資格の取得は必須ではありません。しかし、資格の取得には以下のメリットがあります。
ITコンサルタント関連の資格は、基本的な知識を問われる未経験者向けのものから、経験者向けの専門的な資格までさまざまです。公的機関が運営する資格のほか、IT関連製品を製造・販売するベンダーが実施するものもあります。ベンダー資格には、大学生や未経験者から経験者、上級者向けまで、グレードが設けられているものが多いです。
ここでは、ITコンサルタントとして活躍するために役立つ資格を、未経験者向け・経験者向け・ベンダー系の3つに分けて、合計13個紹介します。
基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。
プログラミングやセキュリティなどのITに関する基礎的な知識や、経営・マネジメントに関する知識が問われます。資格の取得に向けて勉強すると、ITコンサルタントに求められる基本的な知識・スキルの習得につながるのがメリットです。
基本情報技術者試験 | |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込) | 7,500円 |
難易度 | 合格率:25%前後 未経験者でも受験可能だが、十分に時間をかけて勉強する必要がある |
合格ライン | 60点以上/100点満点 |
受験方法 | CBT 随時 |
(参考:基本情報技術者試験ドットコム)
協会も、基本情報技術者試験を「ITエンジニアの登竜門」と位置づけており、基礎を身につけたい方に適しています。
試験は通年開催されており、CBT方式で気軽に受けられるのも魅力です。
ITコーディネータ資格は、企業のIT戦略をビジネスの観点から評価・アドバイスし、IT経営を支援する能力を証明するための資格です。
試験は基礎的な知識を問われるのが特徴で、初心者でも挑戦しやすい内容です。ITコーディネータ協会が発行する「IT経営推進プロセスガイドライン」の内容を理解できれば、合格できる可能性は十分にあります。
ITコーディネータ試験 | |
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運営 | ITコーディネータ協会 |
受験料(税込) | 19,800円 |
難易度 | 合格率:約50%~70% |
合格ライン | 正答率:約60%~80%(非公式) |
受験方法 | CBT 随時 |
(参考:ITコーディネータ協会 ITコーディネータ試験合格者数推移)
ITILファンデーション | |
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運営 | PeopleCert |
受験料(税込) | 35,200円 |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 正答率:65%以上 |
受験方法 | CBT 随時 |
ITコンサルタントは、プロジェクトのサポートに回る機会も多いため、プロジェクトマネジメントに関する基礎知識を身につけるとよいでしょう。
CompTIAProject+は、CompTIAが主催するプロジェクトマネジメントのスキルと知識を評価する世界共通の資格試験です。
プロジェクトライフサイクルの管理や適切なコミュニケーション、プロジェクト文書の管理や関係者との調整など、プロジェクトマネジメントに必須の知識・スキルが問われます。資格の取得に向けた勉強を通じて、プロジェクトマネジメントの基礎を習得し、実務に役立てられるのが魅力です。
CompTIA Project+ | |
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運営 | CompTIA |
受験料(税込) | 46,284円 |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 710/900スコア |
受験方法 | CBT 随時 |
応用情報技術者試験 | |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込) | 7,500円 |
難易度 | 合格率:20%前後 |
合格ライン | 60点以上/100点満点 |
受験方法 | CBT 年2回(春・秋) |
(参考:応用情報技術者試験ドットコム)
ITストラテジスト試験は、IPAが実施する国家試験です。企業のIT戦略に関する知識が問われ、認知度・難易度ともに高い試験です。
資格の取得にあたって、事業環境の調査や分析、ビジネスモデルの提案、IT戦略の企画提案や推進、評価などを実行する方法について学べます。経営とITを結びつける戦略家として、ITを活用した事業革新・業務改革や、製品・サービスを創出できる人材になれます。
ITストラテジスト | |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込) | 7,500円 |
難易度 | 合格率:15%前後 |
合格ライン | 午前試験Ⅰ・Ⅱと午後試験Ⅰで、60点以上/100点満点 |
受験方法 | CBT 試験会場で実施 |
(参考:令和3年度4月試験 ITストラテジスト試験 合格発表 分析コメントと今後の対策)
P2Mは、日本プロジェクトマネジメント協会が主催する、以下の4つの総称です。
P2M | |
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運営 | 特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会 |
受験料(税込) | PMC:17,000円 PMS:22,500円 PMS:39,200円 PMR:220,000円 |
難易度 | PMC合格率:68.2% PMS合格率:48.8% PMS合格率:64.7% PMR合格率:77.8% |
合格ライン | 正答率:70%以上 |
受験方法 | 全国11ヵ所で実施 |
(参考:特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会 P2M資格試験合格者推移)
中小企業診断士 | |
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運営 | 一般社団法人 中小企業診断協会 |
受験料(税込) | 1次試験:14,500円 2次試験:17,800円 |
難易度 | 1次試験合格率:28.9% 2次試験合格率:18.7% |
合格ライン | 総得点の60%以上かつ全科目40点以上 |
受験方法 | 年1回 試験会場 |
PMP®︎ | |
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運営 | NPO法人プロジェクトマネジメント協会(PMI) |
受験料(税込) | PMI会員 $405:再受験の場合$275 PMI非会員 $555:再受験の場合$375 |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 106問/175問以上 |
受験方法 | CBT 随時 |
オラクルマスター | |
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運営 | 日本オラクル社 |
受験料(税込) | 37,730円 |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 正答率:およそ60% |
受験方法 | CBT 随時 |
(参考:ORACLE MASTER Portal)
シスコ技術者認定は、シスコシステムズ社が運営する資格です。ネットワークに関する知識やスキルについて問われます。ネットワーク関連の資格の中で高い知名度を誇るのが特徴です。
シスコ技術者認定には、エントリー・アソシエイト・プロフェッショナル・エキスパートの4つのグレードがあります。
シスコ技術者認定資格 | |
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運営 | Cisco Systems社 |
受験料(税込) | ランク・種類により異なる |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 正答率:非公開 |
受験方法 | CBT 随時 |
LPICは、Linux LPIの日本支部が運営するベンダー系の資格です。合格するためには、Linuxの運用やトラブル対応の知識・スキルを身につける必要があります。
LPICには、LPIC-1・LPIC-2・LPIC-3の3つのグレードがあり、問われる内容はそれぞれ以下のように異なります。
LPIC レベル(全レベル共通) | |
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運営 | Linux Professional Institute(LPI) |
受験料(税込) | 16,500円 |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 500点以上/800点満点 |
受験方法 | CBT 随時 |
ITコンサルタント関連の資格取得に向けた勉強法として、テキストを使った独学と、ITスクール活用の2つがあります。どちらもメリット・デメリットがあり、自分に適した勉強法を見つけるのが大切です。
以下では、それぞれの勉強法のメリット・デメリットと、向いている方の特徴について解説します。
ITコンサルタントの業務に関わる資格には、さまざまな種類があります。資格の取得により、ITコンサルタントに必要な知識やスキルを持っていることを対外的に証明できるのがメリットです。転職やキャリアアップの際に、有利になることもあります。
未経験からITコンサルタントを目指す方は、まずは初心者向けの比較的易しい資格から挑戦するとよいでしょう。ITコンサルタントとしてのキャリアアップを目指す方や、独立して成功したい方は、高度な知識やスキルを問われる難易度の高い資格に挑戦してください。