ITコンサルタントに必要なものとは? スキル、資格、適性を大特集!

ITコンサルタントは、IT技術を駆使して顧客や企業の問題を解決する仕事です。常にユーザー視点から課題を捉えて、解決に導くためのシステムについて提案します。
解決策として提示したシステムを導入したあとも、定着支援と運用のためにサポートしていく大切な職種です。
今回は、ITコンサルタントの仕事内容や必要なスキル、向いている方の特徴について解説します。将来ITコンサルタントとして活躍を目指している方は、ぜひご覧ください。
ITコンサルタントの仕事内容紹介

ITコンサルタントの主な仕事内容は、IT分野の課題解決案を提示することです。IT技術を利用して顧客企業の抱える課題を解決へと導く使命を持っています。
顧客の要望を引き出した後は、俯瞰的な立場で課題をとらえ、より実現可能な解決案を提案することが大切です。その後は実行支援として、システムの導入や改善など、一貫して問題を解決し、顧客の利益を上げることを目的とします。
次の章では、ITコンサルタントの仕事内容とシステムエンジニアの違いと、仕事のやりがいについて解説します。
システムエンジニアとは異なる
システムエンジニアは、開発者側の視点に立って顧客のニーズに見合ったシステムを構築するのが主な仕事です。ITコンサルタントから示されたシステム要件に基づき設計・開発をします。
一方ITコンサルタントは、顧客の課題に対して解決策としてシステムを提案したり、選択したりするのが仕事です。顧客に近い立場から考え、システム全体を俯瞰的な立場でとらえ行動する点がシステムエンジニアと異なります。
つまり、担当範囲が違うのです。ITコンサルタントは最上流工程、システムエンジニアはその後の工程を担当するため、業務範囲が異なります。
システムエンジニアの仕事内容について知りたい方はこちらをご覧ください。
▶︎ システムエンジニア(SE)の仕事内容とは?スキルや年収をわかりやすく解説
仕事のやりがい
ITコンサルタントの仕事のやりがいは、顧客の課題が解決につながった時の達成感にあります。
ITコンサルタントは顧客とともに課題と向き合い、ITの側面から解決に導きます。解決は決して簡単ではありませんが、苦心して考えた提案が受け入れられ、課題が解決すれば大きな達成感を味わえます。
ITコンサルタントの仕事には、経営層や事業部長などにITを用いた課題の解決案を提示することも含まれます。企業の経営層と関わる機会が多いため、経営者としての視点を学べることもやりがいの一つです。
課題解決に対してやりがいや面白さを感じ、刺激や学びを得て成長したい方に向いているといえるでしょう。

ITコンサルタントとは?仕事内容・必要スキル・年収を徹底解説
ITコンサルタントの年収を解説
「求人ボックス」によると、正社員ITコンサルタントの平均年収は、649万円です。(2024年10月1日時点)
ITコンサルティングは成果・実力主義の仕事のため、自身のキャリアや実績次第で年収アップにつながるのがメリットです。コンサルティング能力やスキルをブラッシュアップし、仕事に生かしていけば高年収も期待できます。
また、雇用形態によっても年収が変わります。契約社員や派遣社員はITコンサルティングの補助的な業務にあたることが多く、年収は高くなりにくい傾向があります。フリーランスのITコンサルタントは、実力とスキル・能力次第で高収入も見込めるでしょう。
ITコンサルタントとして年収アップを目指すためには、経験を積むことが基本です。まずは企業に属し、新しいプロジェクトや役職に挑戦し、さまざまな業界や業務での実務経験を増やすことが重要です。
現代のビジネス環境では、データがビジネス戦略の中心となっています。このため、データ分析のスキルを磨くことで、お客様のビジネス課題を正確に把握し、適切な提案ができるようになります。また、ITコンサルタントは技術だけでなく、人材マネジメントやチームビルディングのスキルも求められます。人としての信頼を築くことで、より大きなプロジェクトや役職への道が開かれるでしょう。
さらに、コンサルティングに必要なビジネス戦略や最新の技術トレンドに常にアップデートしなければなりません。これにより、競合他社や同業者との差別化を図り、自分の価値を高めることができます。
そして、明確なキャリアパスを設定し、それに向かって努力を続けることが大切です。定期的に自分自身のキャリアプランを見直し、次のステップに挑戦し続ける姿勢が年収アップの鍵となるでしょう。
ITコンサルタントのキャリアパス

個人の興味、専門性、そしてキャリアの目標によって、さまざまなキャリアパスが考えられます。ここでは、ITコンサルタントとしてのキャリアパスを一部紹介します。
最初は、主に既存のプロジェクトのサポートやデータ分析が業務の中心です。実際の業務を通じて、基本的なビジネスの知識やコンサルティングのスキルを身につけることが期待されます。
次に、クライアントとの直接的なやり取りが増えてきます。また、プロジェクトの一部を主導するようになるため、ビジネス戦略の策定やITソリューションの提案といった、より高度な分析スキルが要求されるでしょう。
さらに経験を積むと、プロジェクト全体のリーダーシップを取れるようになります。この段階では、チームの人材マネジメントも大切な役割となり、クライアントとの関係構築や新しいビジネス機会の開拓など、ビジネス開発のスキルも必要です。
トップレベルになると、コンサルタントの知識や経験を活かして、会社全体の方針を決定する立場を任される場合もあります。企業全体の戦略策定や新しい市場への展開など、幅広いビジネススキルと深い専門知識が必須となる段階です。
また、特定の分野や技術に特化したスペシャリストや独立する道もあります。どちらの場合にも、深い専門知識とそれをもとにした具体的なソリューションの提案能力が必要です。
これらのキャリアパスは一例に過ぎません。ITコンサルタントの道は多岐にわたるので、自分の興味やスキル、キャリアの目標に合わせて道を選択するとよいでしょう。
ITコンサルタントに必要なスキル4選
ITコンサルタントには、ITの知識やコミュニケーションなど総合的なスキルが求められます。
- ヒアリング力
- プレゼン力
- リーダーシップ
- ITに関わる知識
それぞれのスキルについて解説します。
スキル1:ヒアリング力
ITコンサルタントは常に顧客の視点に立ち、課題に対して有効なシステムを慎重に検討して提案する必要があります。まれに、顧客自身が課題について把握していない場合もあるため、ヒアリングをしながら現状を整理してあげて提案しなければなりません。
ヒアリングを通じて、クラウドやパッケージシステムの導入など、顧客に見合った解決策を考える能力が必要です。ヒアリング力は、日々の仕事の中でさまざまな人の話をよく聞く姿勢を持って鍛えていくといいでしょう。
スキル2:プレゼン力
ITコンサルタントは企業の課題を解決するための提案や、質問への的確な回答など、さまざまな場面でプレゼンテーション力が求められます。
物事を順序立てて考え、顧客に対して明快にプレゼンテーションをする力は、長く働いていくうえでは必要不可欠です。顧客の求める解決策をいち早く予測し、どんなIT戦略やシステムが求められるか、言葉だけではなく顧客や企業の現状からも把握する先見性もITコンサルタントにとって必要になります。
顧客にとって納得のいく解決策をアドバイスできれば、互いに信頼関係が深められて成長にもつながります。
スキル3:リーダーシップ
システムエンジニアやプログラマーなど、プロジェクトにはスキルや役割の異なるさまざまなメンバーが関わります。
課題やプロジェクトの内容によっては、チームメンバーだけではなく経営陣やほかの部署のメンバーとも関わる場合もあります。そのためITコンサルタントには、さまざまなメンバーを統括して業務を進めるためのリーダーシップが必要です。
マネジメント業務をこなすようになれば、年収の大幅なアップも見込めますので、将来的にも身につけておきたいスキルの一つです。
質の高いマネジメント力を身につければ、仕事の幅が広がりコミュニケーションスキルアップも図れます。
スキル4:ITに関わる知識
ITに関する課題を解決するためには、高度なIT知識が必要になります。顧客の業種や業務の専門性を理解し、問題の解決策を見出すためにも必須です。
専門知識を身につければさまざまなニーズに応えられるため、日頃の学習を続け、実践の中でIT知識を増やしましょう。顧客の視点に立って提案するため、IT関連の難しい専門用語を分かりやすく説明できる力があることも大切です。
IT知識の習得とキャリアを積むことにより、将来さらに活躍できる可能性も高くなるでしょう。
ITコンサルタントスキルを磨く方法3選
コンサルタントとしての専門性を高めるためには、スキルアップが欠かせません。以下に、ITコンサルタントとして必要とされるスキルを磨く3つの方法を紹介します。
積極的なコミュニケーション
積極的にコミュニケーションを取ることは、顧客やチームメンバーの要望や課題を正確に把握するヒアリング力を養う上で極めて有効です。また、自らの提案や意見を明確に伝えるためのプレゼン力も同時に磨かれると言えます。これらのスキルは、ITコンサルタントとしての成功に直結する要素です。
プロジェクトマネジメントの学習
プロジェクトマネジメントを学ぶことで、チームの指導や計画、リソースの管理に必要なリーダーシップを養成することができます。IT関連のプロジェクトには、技術選択やその活用方法などの専門知識が求められるため、これを通じてITに関する知識も一層深まります。加えて、プロジェクトの進捗や成果を関係者に伝える際のプレゼン力も高まるでしょう。
最新技術の把握と実践
IT業界は日々進化しています。最新の技術やツールに常にアンテナを張り、それを実務で活用することで、ITに関する知識を継続的に更新し磨き上げることができます。この姿勢は、顧客に対しても最新の提案を行い、競争力を保つ上で不可欠です。
【未経験者必見】ITコンサルタントになるのに有利に働く資格
未経験からITコンサルタントを目指す場合、特に下記3つの資格がIT関連スキルの証明に役立ちます。
- 基本情報技術者(情報処理推進機構)
- ITコーディネータ(ITコーディネータ協会)
- ITILファンデーション(PeopleCert)
それぞれの資格について解説します。
資格1:基本情報技術者(情報処理推進機構)
基本情報技術者は、IT分野全般に関する基礎知識・技術を証明する国家資格です。資格試験の学習では、ITのシステムに関する提案するうえで欠かせない知識・技術を学びます。
基本情報技術者試験 | |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込) | 7,500円 |
難易度 | 合格率:47.1%(令和5年度合計) 未経験者でも受験可能だが、十分に時間をかけて勉強する必要がある |
合格ライン | 60点以上/100点満点 |
受験方法 | CBT 随時 |
(参考:基本情報技術者試験の合格率は?)
ITコンサルタントには、情報システムや組み込みシステムの適切な活用と、情報システムのリスクに対処できるように改善を促進するための知識・実践能力が必要です。そのため、基本情報技術者の資格を持っていると信頼性が高くなります。
試験の合格率は25%前後です。ITに関わりのない仕事をしてきた方にとっては少々難しく感じるかもしれない試験ですが、試験勉強を通してITの基礎知識やスキルを身につけられるため取得を目指しましょう。
資格2:ITコーディネータ(ITコーディネータ協会)
ITコーディネータは、企業のIT戦略を経営者目線でアドバイスして、IT経営の実現を支援する力を証明する資格です。
資格の取得には、IT知識のみならず経営に関する知識を深く身につける必要があります。難易度の高い資格ですが、ITコンサルタントに必要な総合的なスキルを証明するのに非常に役立つ資格です。
CBT方式(コンピューター試験)の合格に加えて、認定研修機関での6日間の研修とeラーニングの受講が資格取得の要件になっています。ITコーディネータの試験勉強によって、ITと経営の高度な専門知識を体系的に学べるのが大きなメリットです。
ITコーディネータ試験 | |
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運営 | ITコーディネータ協会 |
受験料(税込) | 19,800円 |
難易度 | 合格率:約50%~70% |
合格ライン | 正答率:約60%~80%(非公式) |
受験方法 | CBT 随時 |
(参考:ITコーディネータ協会 ITコーディネータ試験合格者数推移)
資格を取得すれば仕事の幅を広げやすくなり、ITコンサルタントとしてさらに活躍が期待できます。ITコーディネータの勉強で得た高度なIT知識を生かせば、さまざまな顧客からの要望に応えられるようになるでしょう。
資格3:ITILファンデーション(PeopleCert)
ITILファンデーションは、IT運用管理やシステム稼働を主とするITサービスマネジメントの知識の保有を証明する世界共通の資格です。
ITILファンデーション | |
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運営 | PeopleCert |
受験料(税込) | 試験実施機関により異なる |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 正答率:65%以上 |
受験方法 | CBT 随時 |
世界標準のITサービスマネジメントのスキルを第三者から証明されたことになるので、就職や転職、フリーランスコンサルタントの案件獲得に役立ちます。
ITILファンデーションの試験勉強は、専門用語が多数出てくるため、IT経営に馴染みのない方にとっては難易度が高めです。過去問や問題集を活用して勉強していくことで、IT経営に関する基礎知識を確実に身につけられます。
ITコンサルタントとして、安定性の高いITサービス運用を進めていくため、ITILファンデーションはぜひとも取得しておきたい資格です。

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ITコンサルタントの適正と自己分析方法

ITコンサルタントに向いている方の特徴は、下記の3つです。
- 人前でコミュニケーションをとるのが得意な方
- ITに関わる知識と論理的思考力を併せ持っている方
- 忍耐力が高い方
ITコンサルタントには、ITに関する知識だけでなくコミュニケーション能力や忍耐力も求められます。それぞれの特徴について解説します。
人前でコミュニケーションをとるのが得意な方
ITコンサルタントは、経営者やシステムエンジニア、プログラマーなどのさまざまな職種の方と関わるため、高いコミュニケーション能力が必須です。
仕事をしていくうえで、各職種の役割を把握して、プロジェクトの遂行や課題解決に向けてどのように関わっていくかを常に考えなければなりません。困難な事案に直面しても、ほかのメンバーと綿密なコミュニケーションを図って解決に導く姿勢が大切です。
顧客との関わりにおいては、難しい課題や提案される場合もあります。プロのITコンサルタントとして、顧客の厳しい意見と謙虚に向き合うのも重要な仕事です。
相手と常に向き合い、気持ちを慮りながらコミュニケーションが取れれば、信頼関係を築いて円滑に課題解決まで進められるでしょう。
ITに関わる知識と論理的思考力を併せ持っている方
高い論理的思考力があれば、顧客が抱えている課題を順序立てて整理し、解決へと導けます。物事を順序立てて考えるトレーニングを継続し、論理的思考力を高める意識を持てば、ITコンサルタントとしての実力もアップしていくでしょう。
忍耐力が高い方
顧客によっては、要求が多かったり難易度の高い課題を出されたりするので、仕事時間が長くなる時もあります。コンサルティングの仕事は、企業の経営者や幹部クラスの社員との打ち合わせが多く、時として厳しい意見も聞かなければなりません。
綿密に作り上げた提案が不採用になったり、顧客とうまく関われなかったりと、思うように仕事が進まない時もあります。
そんな時に、時間をかけて前向きに仕事を続けるタフさが大切なのです。
自己分析の方法
ITコンサルタントとしてのキャリアを考えている方は、自己分析として上記で紹介した特徴が自分に当てはまるかどうかを確認してみましょう。これらの要素がある方は、ITコンサルタントとしての適性が高いかもしれません。
ITコンサルタントには、様々な業界のトレンドやビジネスモデルに興味を持って追いかける必要があるため、好奇心や広い視野は欠かせません。プロジェクトメンバーとの連携が重要なので、チームプレイが得意な方もITコンサルタントに向いているでしょう。
最後に、変化の激しいIT業界で働く上で、新しい環境に挑戦する姿勢は必要不可欠。変化や挑戦を恐れず、逆にそれを楽しめる方は、ITコンサルタントとしての適性が高いと言えます。
まとめ:ITコンサルタントに必要なスキルを身につけよう
ITコンサルタントはシステムエンジニアと異なり、システムの最上流工程を担います。そのため、ITコンサルタントとして長く働き続けるには、ITスキルや業界知識のブラッシュアップが欠かせません。
IT知識に加え、コンサルタントとして俯瞰した立場で物を見る姿勢も求められます。仕事をしていく中で、企業経営者やシステムエンジニアなどさまざまな職種の方と関わるため、コミュニケーション能力も大切です。
IT関連のスキルを証明するために資格を取得し、一つ一つの仕事を丁寧にこなしていけば、ITコンサルタントとして大きく成長できるでしょう。
ITコンサルタントには適性があるため、自分に向いているのかよくチェックしてみてくださいね。
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