Webディレクターとしてキャリアを進めていく中で、何らかの理由で転職を決意する方は意外と多くいます。
転職は、人生における大きなステップです。さらに、転職へ向けた準備は自己のスキルや経験を再評価し、キャリアビジョンを具現化するための手段としても有用です。
当記事では、Webディレクターが転職を成功させるためのポイントや、スキルや経験を生かせる転職先・キャリアパスについて解説します。転職を成功に導くためのポイントも紹介するため、Webディレクターとしての将来を真剣に考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Webディレクターから転職することは可能?
結論から述べると、Webディレクターからの転職は十分に可能です。その理由は、Webディレクターが持つ幅広い業界知識と優れた管理能力・コミュニケーション能力にあります。
▶ Webディレクターの仕事内容|求められるスキルや適正とは?
3つの能力はどのような職種でも生かせるスキルであり、特にWeb業界内での転職成功率は高いと言えるでしょう。
それぞれの能力は、以下のように活用されます。
スキル | 活用法 |
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業界知識 | WebディレクターはWeb制作の全行程を理解しているため、業界内のさまざまな職種に対応できる |
管理能力 | プロジェクト全体を見通し進行管理をする能力は、マネジメントポジションでの求人にもマッチする |
コミュニケーション能力 | チーム内外と円滑にコミュニケーションを取る力は、他部署との連携を必要とする職種で有利となる
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Webディレクターのよくある転職理由
Webディレクターが転職を考える理由は人によってさまざまですが、ある程度の共通点があります。特に多いのが、給与・待遇に対する不満や労働環境・仕事内容の問題、スキルアップやキャリアアップの希望、そしてキャリアチェンジの願望などです。
ここでは、Webディレクターがどのようなときに転職を考えるのか、見てみましょう。
給料や待遇に対して不満がある
Webディレクターが転職を考える理由の一つとして、「給料や待遇に対する不満」が挙げられます。プロジェクト全体を把握していることもあり、メンバーの働きぶりや収入と、自身のスキルや経験、負担している仕事の量を比較し、不満を抱くケースが少なくありません。
不満としてよく聞かれるポイントは、次の通りです。
ポイント | 詳細 |
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給与水準 | 自分の担当するプロジェクトの規模や重要度、自身の経験値に対して給料が低いと感じる |
待遇 | 休日・休暇の取得が難しい、福利厚生が充実していない、昇進の機会が少ないなど、職場環境に対する不満を覚える |
評価体系 | 努力や成果が正当に評価されず、それが給与や待遇に反映されていないと感じる |
労働環境・仕事内容に対して不満がある
「労働環境や仕事内容に対する不満」も、Webディレクターが転職を考える一因です。労働環境・仕事内容に対する不満が募ると給料や待遇に対する不満も募りやすく、転職したいと考えるケースが少なくありません。
例えば、以下のような点に不満を抱く傾向にあります。
ポイント | 詳細 |
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職場の雰囲気 | メンバーによってはコミュニケーションが取りづらい、チームワークが悪いなどの人間関係の問題が発生する |
仕事量 | 業務量が多すぎて残業が発生しやすい、常にマルチタスクをこなさなければならず、過労になりやすいなど |
仕事の質 | 退屈なルーチンワークが多い、挑戦的なプロジェクトが少ない、ミスの発生時は全責任を負わされるなど、仕事内容に対する不満がある |
スキルアップ・キャリアアップがしたい
Webディレクターが転職を考える理由の一つに、「スキルアップやキャリアアップを望む」ことが挙げられます。現在の職場での成長の機会が限られている、新しい知識や技術を学びたいなどが主な理由です。
例えば、以下のような希望を持つ方が転職を希望する傾向にあります。
希望 | 詳細 |
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スキルアップ | 最新のWeb技術を学びたい、他の分野(マーケティングやデザインなど)の知識を深めたいなど |
キャリアアップ | マネジメントの経験を積みたい、より高度な戦略立案に関与したいなど |
キャリアチェンジがしたい
キャリアチェンジを考えだすのも、Webディレクターが転職を検討する一つの理由です。
例えば、以下のようなポイントがきっかけとして挙げられます。
ポイント | 詳細 |
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業務への飽き | 長年Webディレクターとして働いてきたが、同じ業務の繰り返しで飽きを感じている |
実績形成の難しさ | プロジェクトが成功しても他業種の実績になるケースが多く、自分の貢献度を明確にするのが難しい |
新たな挑戦への意欲 | 別の業種や職種に興味があり、新たなキャリアを築きたい |
Webディレクターにおすすめの転職先は?
「今の職場を辞めたいだけで、Webディレクターの仕事は続けたい」と考える方は多いでしょう。このような方におすすめの転職先は、「別企業のWebディレクター」と「自社サービス会社のWebディレクター」の2つです。
ここでは、別企業のWebディレクターと自社サービス会社のWebディレクターがおすすめの理由を紹介します。
別企業のWebディレクター
Webディレクターの転職先として考えられるのは、同職種の別企業です。おすすめする理由として、以下の3点が挙げられます。
●経験・スキルの活用
既に積み上げてきた、Webディレクターとしての経験や知識をそのまま活用可能です。そのため、新たな職場でもスムーズに業務に取り組める可能性が高くなります。
●異なるビジネスモデルやスキルアップへの挑戦
別企業であれば、同じ職種でもビジネスモデルや慣習が異なるケースが珍しくありません。新たな視点やスキルを身につけるチャンスとなります。
●待遇改善の可能性
経験とスキルを持つWebディレクターは市場価値が高めです。転職によって、よりよい給料・待遇を受けられる可能性があります。
自社サービス会社のWebディレクター
自社でサービスを開発・運用する会社への転向もおすすめです。その理由として、以下の3点が挙げられます。
●クライアントとの交渉が必要ない
自社サービスのみを取り扱う会社であれば、クライアントとの交渉が必要ありません。クリエイターとクライアントとの間で板挟みにならないため、ストレスが軽減されます。
●プロジェクトへ深く関与できる
自社サービスを扱う企業では、サービスの企画から運営まで一貫して関与できます。自分のアイデアを形にする機会が増え、スキルアップや成果を実感しやすくなるでしょう。
●モチベーションがアップしやすい
自社サービスの成功は直接的に会社の成績に結びつくため、達成感や仕事へのモチベーションが高まります。
Webディレクターの転職におすすめのキャリアパス3選
Webディレクターのスキルを生かし、さらなるキャリアアップを目指すなら、ディレクターとしての立場にこだわる必要はありません。Webプロデューサー・Webプランナー・Webマーケターも、Webディレクターとして積み重ねてきた経験を生かしつつ新たな挑戦の場として最適です。
ここでは、3つの職種の概要や仕事内容、平均年収を簡単に解説します。
Webプロデューサー
Webディレクターからのキャリアチェンジ先として、Webプロデューサーが考えられます。
Webプロデューサーは、Webサイトやアプリの制作全体を取り仕切り、企画から運用までを管理する職種です。一般的には、ディレクターよりも上位の役職とされ、プロジェクト全体の責任を担います。
●主な仕事内容
Webプロデューサーの主な業務は、Webサービスの企画立案、必要なリソースの調達、予算やスケジュール管理、チームの統括などです。また、クライアントとの調整役となることもあります。
●平均年収
経験や企業規模、雇用形態によって異なるものの、一般的にはWebディレクターと比べて高い傾向にあります。職種全体の平均は年収572万円程度(※2023年5月19日現在)が目安です。
Webプロデューサーとして活躍するためには、Web制作全般に対する深い理解とマネジメントスキル、ビジネス戦略の理解が必要です。
Webプランナー
Webディレクターからのキャリアチェンジの選択肢として、Webプランナーも有力な候補です。Webプランナーは、Webサイトやアプリを企画・立案する職種です。Webディレクターと比較すると、より企画・提案にフォーカスしたクライアント寄りの仕事です。
●主な仕事内容
クライアントの課題を解決するための新しいWebサービスの提案や、既存サービスの改善提案を行います。ユーザーの視点を持つとともに、ビジネス視点からの分析能力も必要です。
●平均年収
経験や企業規模によりますが、平均的な年収は350万〜640万円程度(※2023年5月19日現在)とされています。実力が直接収入に反映されやすく、性別による収入格差も少なめです。
Webプランナーへの転職は、よりクリエイティブな業務に直接携わりたいと考える方にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
Webマーケター
Webディレクターからのキャリアステップとして、Webマーケターも魅力的な選択肢のひとつです。Webマーケターは、デジタルマーケティングの専門家として、企業や製品のオンライン上での認知度向上や販売促進を進めます。
●主な仕事内容
主な業務は、SEO対策・SNS運用・ネット広告運用・Webサイト改善など、Web上での販売促進活動全般です。効果的なマーケティング戦略を立案し、その実行・検証・改善を実施します。
●平均年収
経験やスキル、企業規模によるものの、平均的な年収は598万円程度(※2023年5月19日現在)です。近年ではWebマーケティングへの注目が集まっており、高い報酬が期待できます。
Webディレクターが持つWeb知識やプロジェクト管理スキルは、Webマーケターとしても生かせます。また、よりビジネスの成果に直結した業務を希望する方にも適した職種と言えるでしょう。
より自由度の高い働き方を目指すなら「独立」もおすすめ!
Webディレクターのスキルを生かしつつ、自由度の高い働き方を求めるなら、フリーランスとしての独立もおすすめです。
独立すれば、自己の能力や経験を直接市場にぶつけられ、自分のビジョンに基づいたプロジェクトに関わるチャンスが増えるでしょう。また、場所や時間に縛られず、自分のライフスタイルに合わせた柔軟な仕事スタイルが可能になります。
しかし自由度が高い一方で、独立のリスクも認識しておかなければなりません。フリーランスになれば、クライアントの獲得やビジネス交渉、保険や税務といった、自己管理が必須です。また、収入がプロジェクトに直結するため、生活基盤の不安定さを覚悟する必要があります。
ただし需要も多いため、フリーランスのWebディレクターとしての働き方は、特定の企業に依存せずにスキル・年収アップを追求する1つの道と言えるでしょう。
Webディレクターの転職を成功させるためのポイント5つ
ポイント(1)在職中に転職活動をはじめる
Webディレクターとしての転職を成功させるためには、以下の5つのポイントが重要です。
仕事を辞めてからの転職活動は金銭的なプレッシャーとなり、焦りから理想とは異なる会社への入社を決めてしまうケースがあります。反対に在職中に活動を始めれば、自分のペースでじっくりと適切な転職先を見つけることが可能です。
ポイント(2)転職理由を明確にする
自身の転職理由を明確に理解しておくことで、求める条件や目指すキャリアパスがはっきりします。具体的な目標に向かっての転職活動は効率的です。
ポイント(3)実績・スキルを整理する
自身のスキルや過去の実績を整理し、どのようにアピールできるかを考えることが重要です。得意とするスキルがあればアピールポイントとなるため、早めにレベルアップを図るとよいでしょう。
ポイント(4)希望の転職先・職種に足りないスキルを補う
自己分析を通じて、不足しているスキルを特定し、それを補う努力をすることが求められます。特に中途採用の場合、即戦力として働けるか否かが評価の分かれ目です。在職中から次を見据えて、求められるスキルを身につけておきましょう。
ポイント(5)転職エージェントを活用する
専門的な知識や広範なネットワークを持つ転職エージェントは、自分一人では知り得ない情報や有利な条件を提供してくれます。専門性の高い職種であるWebディレクターの転職において、専門家のサポートは大きな強みです。
上記のポイントを押さえ、自己分析と市場理解に努めながら、自分自身の価値を高めることが、成功のカギとなります。
まとめ
Webディレクターの方の転職は、現在のスキルや経験を生かしつつ、新たなチャレンジをする大きなチャンスです。同業他社以外にも、Webプロデューサー・Webプランナー・Webマーケターといったキャリアパスに加え、フリーランスとしての独立が選択肢となるでしょう。
転職を成功させるためには、在職中の転職活動・転職理由の明確化・自己のスキルや実績の整理・不足スキルの補完が欠かせません。
転職を検討しているのであれば、早いうちからスキルアップを図ってみてはいかがでしょうか。
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