世界中でIT化が進んできている中、企業のITインフラを構築するネットワークエンジニアは幅広い需要が高まっています。
ネットワークエンジニアは、資格がなくてもなれる仕事ですが、顧客の信頼を得るためには資格があると安心です。本記事では、ネットワークエンジニアが取るべき資格7つを詳しく紹介していきます。
この記事を読めば、ネットワークエンジニアが取るべき資格の試験内容やメリットがわかります。
理想的な資格取得の順番に関しても触れているので、資格の目標を立てる際にぜひ活用ください。
ネットワークエンジニアの需要の将来性
ネットワークエンジニアとは、ネットワークシステムの専門的知識を持った技術者です。構築および保守・管理などの業務を手掛けます。
2020年からのコロナ感染拡大において、リモートワークが広がりIT業界も大きく変化してきました。クラウドサービスの普及が進むにつれ、ネットワークエンジニアに求められる技術も変化してきています。
基本的な知識に加え、世の中の変化に合わせて柔軟に対応できるよう技術を磨き続ける必要があります。
ネットワークエンジニアに求められる5つの知識
ネットワークエンジニアは、技術や経験があればできる仕事ですが、スムーズに仕事をするために知っておくべき知識があります。これらを把握しておけば、今後ネットワークエンジニアとして取得すべき資格が見えてくるでしょう。
この章では、ネットワークエンジニアに求められる5つの知識について解説していきます。
ネットワークに関する専門知識
名前からもわかるように、ネットワークエンジニアにはネットワークに関する専門知識が求められます。 通信技術は、LAN系、WAN系、インターネット系がありますが、ネットワークエンジニアは、これらの通信機器の接続や設定に関わる総合的な知識と、技術やノウハウが必要です。
ネットワークエンジニアを目指すなら、ネットワークの仕組みや通信についての知識を深める必要があります。
「OSI参照モデル」や「TCP/IP」といった通信の根本となる技術や考え方を学ぶことで、ネットワークエンジニアの基礎的知識が深まるでしょう。
セキュリティに関する知識
ネットワークエンジニアには、セキュリティに関する知識も必要です。最近では、高度なセキュリティの知識やスキルを持っているエンジニアのニーズが高まっています。
本来ネットワークエンジニアには、セキュリティに関する知識は必要ありませんでした。しかし、昨今外部からのサイバー攻撃が多発しており、情報漏洩による損害賠償や業務停止に伴う利益損害といったリスクが高まっているため、それらを防止する知識や技術を持つネットワークエンジニアが求められています。
そのため、セキュリティの知識があるエンジニアは、セキュリティのスペシャリストとしても価値を高められるでしょう。
クラウドに関する知識
クラウドとは、手軽に必要なときに必要な分だけサービスを利用でき、利用料を支払うだけで維持・管理できるサービスです。このクラウドを管理するのも、ネットワークエンジニアの仕事です。
多くの企業ではクラウド化が進んでおり、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを、外部の事業者のクラウド型サーバーへ移行する動きが進みつつあります。
リモートワークの普及をきっかけに、自社で管理するオンプレミスからクラウドへの移行が加速してきています。そのため、クラウドに関する知識や技術を持ったネットワークエンジニアは重宝されています。
プログラミングスキル
ネットワークエンジニアの場合、仕事をするうえで、プログラミングに関する知識やスキルがなくても十分対応できます。
しかし、サーバーやネットワークの定期的な監視のための設定など、細かな対応をするためにプログラミングスキルがあるとよりスムーズに仕事ができます。
最近では、ネットワークの設計、構築、運用を効率よく行うためにスクリプトを書く機会も増えてきています。
スクリプトを書く場合、PythonやPHPなどの言語が必要になるため、プログラミングスキルがあればネットワークエンジニアとしての評価を上げやすいでしょう。
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英語力
ネットワークエンジニアの仕事をしていると、英語に関わる機会が多くあります。
ネットワーク機器にはアメリカ製のものも多く、マニュアルや最新情報を素早くチェックするためには、英語で記載された情報を理解しなくてはいけません。
製品のサポートに問い合わせをする際にも、現地の担当者と直接やり取りをした方が早いケースもあります。そういった場合にも、英語力があればスムーズにコミュニケーションを図ることができるでしょう。
業務を円滑に進めるためにも、英語力を身に付けておくことをおすすめします。
ネットワークエンジニアが取るべき資格7選
ネットワークエンジニアに求められている知識がわかったところで、ネットワークエンジニアとして、今後取るべき資格7つをみていきましょう。
資格によって得られる知識の内容や難易度は様々です。自分の学びたい分野、レベルに合わせて資格取得を目指しましょう。
次の章から、それぞれの資格に関して詳しく解説していきます。
基本情報技術者試験(国家資格)
基本情報技術者試験は、経済産業省所管の IPA (情報処理推進機構)が運営する国家資格で、7段階あるレベルのうちIT標準のレベル2です。ITエンジニアが最初に取得すべき資格で、ITエンジニアの登竜門といわれています。
この試験は、IT を活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識と技能をもち、実践的な活用能力がある証明になります。
出題内容は、システム開発からネットワーク、データベースにセキュリティなど幅広い知識が問われるため、基礎的な内容とはいえ決して簡単に受かる資格ではありません。
基本情報技術者試験 |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込)
| 7,500円 |
難易度
| 合格率:25%前後
未経験者でも受験可能だが、十分に時間をかけて勉強する必要がある |
合格ライン
| 60点以上/100点満点 |
受験方法
| CBT 随時
|
(参考:基本情報技術者試験ドットコム)
応用情報技術者試験(国家資格)
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験を取得したら次に取得しておくのにおすすめの資格です。基本情報技術者試験のワンランク上の資格で、IT標準のレベル3です。
実務経験のある中堅エンジニアが受ける試験と言われており、システムの設計・構築における応用力をみる試験となっています。基本情報技術者試験で実績を上げてから、応用情報技術者試験に挑めば、更にステップアップできるでしょう。
応用情報技術者試験は、技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力が身に付くため、高度IT人材として必要な応用的知識や技能をもっている証明になります。
応用情報技術者試験 |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込)
| 7,500円 |
難易度
| 合格率:20%前後 |
合格ライン
| 60点以上/100点満点 |
受験方法
| CBT 年2回(春・秋)
|
(参考:応用情報技術者試験ドットコム)
ネットワークスペシャリスト試験(国家資格)
ネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の中で最も難しい国家資格でIT標準のレベルは4です。
IT標準は、1〜7段階のレベルに設定されていてIT標準レベル4は、プロフェッショナルとしてスキルの専門分野を確立し、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベルとされています。
ネットワークスペシャリスト試験は、高度IT人材として専門知識を持ち、優れた技術でネットワークの企画や要件定義、構築、運用などの中心的役割をこなせるエンジニアである証明になります。
設計開発に関するスキルや、ネットワーク管理者としての能力も問われるので、ネットワークスペシャリスト試験を取得できれば、非常に良いアピール材料になります。
基本情報技術者試験で基本的な内容を理解してから応用情報技術者試験を取得した後に、順を追って受験する方が多いようです。
ネットワークスペシャリスト試験 |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込)
| 7,500円 |
難易度
| 合格率:12%〜15%前後と低め |
合格ライン
| 60点以上/100点満点 |
受験方法
| 年1回 (4月) |
(参考:ネットワークスペシャリストドットコム 統計情報)
情報処理安全確保支援士試験(国家資格)
情報処理安全確保支援士試験は、2016年に情報セキュリティスペシャリストの後継資格として創設された試験です。
サイバーセキュリティ分野の国家資格で、ネットワークスペシャリストと同レベルでIT標準のレベルは4です。
情報処理安全確保支援試験は、サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を証明でき、システムの設計・開発に関わることが可能になります。
難易度が高い資格のため、取得すれば高いスキルをアピールする材料になるでしょう。
情報処理安全確保支援士試験 |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込)
| 7,500円 |
難易度
| 合格率:約15~20% |
合格ライン
| 午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後すべての試験で60点以上/100点満点 |
受験方法
| CBT |
(参考:情報処理安全確保支援士ドットコム)
シスコ技術者認定(民間資格)
シスコ技術者認定は、シスコシステムズが認定している資格で、シスコの製品に関する知識や一定のスキルをもっている証明になります。
シスコ技術者認定資格 |
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運営 | Cisco Systems社 |
受験料(税込)
| ランク・種類により異なる |
難易度
| 合格率:非公開 |
合格ライン
| 正答率:非公開 |
受験方法
| CBT 随時 |
シスコ技術者認定は、「エントリー」「アソシエイト」「プロフェッショナル」「エキスパート」の4つのレベルに分けられます。
シスコ技術者認定は、いきなり難易度の高いレベルから受験はできません。エントリーレベルから順番に取得していく必要があります。
シスコ技術者認定のCCTやCCIE、CCDEは英語のみの試験となっています。
英字新聞を理解できるまでの英語力は必要なく、ある程度型の決まったCisco社の試験問題を読めるようになれば、試験には支障ありません。全く英語が分からないという方は、英語の勉強も進めるとよいでしょう。
レベル別試験内容 |
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認定レベル | 認定資格 | 求められる知識 |
エントリー | CCT( Cisco Certified Technician) | 未経験者 |
アソシエイト | OCCNA(Cisco Certified Network Associate) DevNet Associate CyberOps Associate
| 1~3年 |
プロフェッショナル | CCNP(Cisco Certified Network Professional) DevNet Professional CyberOps Professional | 3~5年 |
エキスパート | CCIE(Cisco Certified Internet Expert) DevNet Expert CCDE(Cisco Certified Design Expert) | 5~7年 |
オラクルマスター(民間資格)
オラクルマスターは、日本オラクル社が定める認定の1つで「Oracle Database」に関する技術を証明してくれる資格です。
数多くあるデータベースの中でも、Oracle Databaseは世界で高いシェアをもつため、オラクルマスターの資格を取得できれば、データベース全般の知識が身に付いたといっても良いでしょう。
オラクルマスター |
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運営 | 日本オラクル社 |
受験料(税込)
| 37,730円 |
難易度
| 合格率:非公開 |
合格ライン
| 正答率:およそ60% |
受験方法
| CBT 随時 |
(参考:ORACLE MASTER Portal>)
オラクルマスターは、「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の4つのレベルがあります。
ブロンズから順に難易度が上がっていきます。試験は、下位の資格から順に取得しなければ、上位の資格は受験出来ないので、注意が必要です。
レベル別試験内容 |
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認定レベル | 認定資格 | 求められる知識 |
Bronze(ブロンズ) | ORACLE MASTER Bronze DBA 2019 | IT業界でシステム開発をするのに最低限必要な知識水準 |
Silver(シルバー) | ORACLE MASTER Silver DBA 2019 ORACLE MASTER Silver SQL 2019 | PGやSEの業務がおこなえのレベルの知識 |
Gold(ゴールド) | ORACLE MASTER Gold DBA 2019 | DBAとしてオラクルを運用するのに必要な知識が中心 |
Platinum(プラチナ) | ORACLE MASTER Platinum Oracle Database 12c | 実務でオラクルのDBAとして働いている方が対象の資格 |
LPIC(民間資格)
LPICは非営利組織のLinux Professional Institute (LPI) が運営する世界共通の認定試験で、Linux技術者としての技術力を認定するIT資格です。
現在、サーバーで使われているオープンソース系のOSはLinuxが占めているため、ネットワークエンジニアを目指す方にはおすすめしたい資格です。
日本では、Linuxのエンジニアが足りないためLPICは人気の高い資格です。
LPICは、レベルが3つあり、基本操作に関する基本的な内容から、レベルに応じて専門知識があるかも確かめられる内容になっています。
LPICは世界共通の資格であり、LPICの認定者になれば海外への転職活動に有利になります。
レベル別試験内容 |
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認定レベル | 認定資格 | 求められる知識 |
level1 | LPIC-1 | Linuxシステムのアーキテクチャ理解やセットアップ、タスクの実行など基礎的な理解が問われます |
level2 | LPIC-2 | 中小規模の混合ネットワーク管理者としての能力が必要 |
level3 | LPIC-3 | エンタープライズレベルでのLinuxプロフェッショナルとしてのスキルが要求される |
ネットワークエンジニアに必要な学習方法
ネットワークエンジニアのおすすめな学習方法は、独学もしくはITスクールに通う方法があります。独学の方法には、参考書を使う、学習サイトを使う、ITエンジニア向けの勉強会に参加するといった方法があります。
ネットワークエンジニアの参考書を読み進めるだけでも、必要な知識やスキルを学べます。まずは、参考書でネットワークエンジニアの基礎的知識を学んでみましょう。
インターネット上には、さまざまな学習サイトが存在します。ネットワークエンジニアの基礎から順に学べるサイトもあり、手軽に学びたいと考えている方にはおすすめです。
学習サイトには無料と有料の2種類があります。有料学習サイトはサポートがしっかりしているなどのメリットがあるので、独学で進めたいがサポートが欲しいという方におすすめです。
無料スクールで学びたい方はこちらをチェックしてみてください。
▶ 【無料or稼ぎながら】ITスキルを学ぶお得な学習法
ネットワークエンジニアに必要な知識は難しいものが多く、独学ではつまずく可能性があります。その点、ITスクールなら自力では理解できなくても、質問すればすぐに解決でき理解も進むでしょう。
独学よりも早いスピードで、ネットワークエンジニアの知識を学べるため、最短で資格取得を狙うなら、ITスクールでの学習がよいでしょう。
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まとめ:資格を取得してネットワークエンジニアとしての評価をあげよう
ネットワークエンジニアが取得すべき資格を、難易度も併せて紹介してきました。ネットワークエンジニアが取得すべき資格に関して理解が深まったのではないでしょうか。
いきなり難易度の高い資格にチャレンジするのではなく、自分の今のレベルに合った資格から取得していくとよいでしょう。
ネットワークエンジニアとして働き続けるためにも、常にスキルアップを意識して資格取得を目指しましょう。
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