プロジェクトマネージャーは、システム開発においてプロジェクト全体の統率・管理を担い、あらゆる責任を持つ重要なポジションです。さまざまなスキルが求められる難しい仕事ですが、平均年収も高い傾向にあるため、プロジェクトマネージャーへの転職を考える方も少なくありません。
しかし転職難易度が高いので、未経験からプロジェクトマネージャーを目指す場合はきちんと準備しておく必要があります。
本記事を読めば、プロジェクトマネージャーの仕事内容や求められるスキル、スキルの習得方法やキャリアパスなどがわかります。プロジェクトマネージャーに転職してキャリアアップを目指したい方は必見です。
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクト全体に責任を持ち、プロジェクト全体の進行を管理するポジションです。
プロジェクトの予算やスケジュール、成果物の品質などすべてに責任を持ち、顧客との折衝や予算管理など、プロジェクトを推進するためにマネジメントする役割を果たします。
一言でまとめるとシステム開発の全般を管理する仕事です。求められるスキルの幅が広く、レベルも高いので誰でもできる仕事ではありません。
プロジェクトマネージャーは、顧客の業界に関する専門的な知識やマネジメントスキルなど、高度な知識・スキルが求められるポジションです。市場価値は高く、キャリアアップにもつながる仕事です。
求人ニーズは高めですが、即戦力となる人材を求められるため、未経験からの転職難易度はかなり高くなります。
しかし、プロジェクトマネージャーの経験がないからといって、必ずしも転職できないわけではありません。
プロジェクトマネージャーの経験がなくても、ほかの業界・職種でマネジメント経験があれば、転職に有利になります。ポテンシャルを買われて採用される可能性が高まるため、諦めずに挑戦してみると良いでしょう。
ポテンシャルでの採用を狙って未経験から転職する場合でも、プロジェクトマネジメントやIT業界に関する基礎知識を持っておかねばなりません。転職の前にプロジェクトマネジメントに関する資格を取得したり、自分でIT業界に関する勉強を進めたりして知識を補完しておきましょう。
プロジェクトマネージャーの平均年収は、645万円と言われています。(2023年5月9日現在)
令和4年分の「国税局民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円であり、プロジェクトマネージャーの平均年収は非常に高い水準であるとわかります。
必要なスキルのレベル・企業からのニーズが高いため年収も高くなっていると言えます。
プロジェクトマネージャーの平均年収は?仕事内容や有利な資格も紹介
転職難易度・平均年収ともに高いプロジェクトマネージャーに転職するためには、以下のような知識・スキルが必要です。
プロジェクトを進めるための基礎知識だけでなく、予算管理やコミュニケーション能力など、幅広いスキルが求められるのが特徴です。
以下では、それぞれの知識・スキルについて解説します。
プロジェクトを進めていくうえでトラブルが発生した際は、リーダーであるプロジェクトマネージャーが中心となって冷静かつ柔軟に対応し、課題を解決する必要があります。
適切な解決策を導くためには、解決策ごとのメリット・デメリットを比較検討し、素早く判断しなければなりません。
さらに、プロジェクトにかかる人員やコストを最適化するため、常に現状の問題点を分析し、改善につなげる姿勢も求められます。
このように、問題を的確に分析し、対応策を講じられる課題解決能力がプロジェクトマネージャーには重要です。
未経験からプロジェクトマネージャーに挑戦したい方の中には、どのような方法で上記のスキルを習得すればよいか、わからない方もいらっしゃるでしょう。
プロジェクトマネージャーに必要なスキルの身につけ方は3つあります。ここでは、それぞれの方法について解説します。
プロジェクトマネージャーになるために資格は必須ではありません。しかし、プロジェクトマネジメントに関する資格を取得すると、転職で有利になる可能性があります。
資格取得に向けて勉強する過程で、必要な知識やスキルを身につけられるのもメリットです。
プロジェクトマネジメントに関する資格としては、以下のような種類があります。
プロジェクトマネージャ試験 | |
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運営 | IPA独立行政法人 情報処理推進機構 |
受験料(税込) | 7,500円 |
難易度 | 合格率:約12%~15% |
合格ライン | 午前1から午後1までのすべての試験において100点満点中60点以上かつ、午後2の評価ランクがA |
受験方法 | 年1回 (10月) |
(参考:プロジェクトマネージャ試験ドットコム)
PMOスペシャリスト認定資格 | |
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運営 | 一般社団法人日本PMO協会 |
受験料(税込) | PMOスペシャリスト(★★)™:16,500円(一般)11,000円(会員) PMOスペシャリスト(★)™:14,300円(一般)9,900円(会員) |
難易度 | PMOスペシャリスト(★★)™合格率:44% PMOスペシャリスト(★)™合格率:非公開 |
合格ライン | 70点以上/100点満点 |
受験方法 | CBT |
(参考:一般社団法人 日本PMO協会 【認定資格】PMOスペシャリスト(★★)認定資格)
PMP®︎ | |
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運営 | NPO法人プロジェクトマネジメント協会(PMI) |
受験料(税込) | PMI会員 $405:再受験の場合$275 PMI非会員 $555:再受験の場合$375 |
難易度 | 合格率:非公開 |
合格ライン | 106問/175問以上 |
受験方法 | CBT 随時 |
特にプロジェクトマネージャー試験は、情報処理推進機構(IPA)が運営する、プロジェクトマネジメントに必要な知識や実践力を問う国家資格です。
実務経験がなくても受検できるため、プロジェクトマネージャーに転職したい方は挑戦してはいかがでしょうか。
他にもIT関連の知識を身につけられる資格は多数あります。興味をお持ちの方は下記記事も併せてご覧ください。
▶ キャリアアップ・キャリアチェンジに有利なIT系資格を紹介!
現在では、プロジェクトマネージャーに必要な知識や仕事内容に関する多くの本が販売されています。そういった未経験者向けの本を使って独学するのもひとつの手です。
基礎から書かれているものを読めば、未経験の方でも自分のペースで学習できるでしょう。
1冊の本を繰り返し読んで知識を自分のものにするのはもちろん、複数の本を読んで共通部分を探し、特に重要なポイントの理解が大切です。
また、読んだ内容をメモしたり実際の行動に移したりして、積極的にアウトプットの機会を設けましょう。
もしIT関連の知識やスキルを身につける方法で迷ったら、下記記事もご覧ください。
プロジェクトマネージャーに必要なさまざまな知識・スキルを身につけるためには、ITスクールの受講も効果的です。
ITスクールなら講師によるサポートを受けられるので、挫折しにくく効率的に学べます。
スクールのカリキュラムは、必要な知識・スキルを習得できるよう最適化されており、学び方や内容を見失わずに学習を続けられます。
わからないところがあっても質問できる環境が整っている場合が多く、独学に比べて挫折しにくく、学習を続けやすいのも嬉しいポイントです。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの立ち上げから完了までのすべての工程に携わる重要なポジションです。さまざまなステークホルダーの利害を調整しながらプロジェクトを完遂させる必要があり、難易度が高い仕事と言えます。
その分プロジェクトが完了した時に達成感を味わうことができます。
多くの方を巻き込みながらプロジェクトを進め、経験やスキルを得られるプロジェクトマネージャーは難易度と同じくやりがいも大きい仕事です。
プロジェクトマネージャーは、希少価値の高い人材として、その先のキャリアパスにおける選択肢も豊富です。
代表的なキャリアパスとしては、以下の5つが挙げられます。
プロジェクトマネージャーの先には、さまざまなキャリアの選択肢が広がるのです。
ここでは、それぞれのキャリアについて解説します。
CIO(Chief Information Officer)は、企業の情報システム部門のトップ(最高情報責任者)です。社内のインフラやセキュリティを支え、経営に貢献します。プロジェクトマネージャーの代表的なキャリアパスの1つです。
なお、最高情報責任者の役割を事業部長が担当する場合もあり、会社によって呼び方や担当範囲が異なる点に注意しましょう。
PMO(Project Management Office)は、プロジェクトの進捗や品質といった細かい管理や、全体分析、プロジェクトマネージャーへのフィードバックなどを担当する部門です。大規模プロジェクトで設置されるケースが多く見られます。
PMOの部門長としてプロジェクトマネージャーをサポートしたり、プロジェクト間を調整したりするキャリアも1つの選択肢です。
プロジェクトマネージャーからITコンサルタントになるキャリアも存在します。
ITコンサルタントは、企業が抱える経営課題をITを用いて解決する仕事です。プロジェクトの上流部分を担当する仕事であり、プロジェクトマネジメントを通して培った経験や現場理解度、マネジメントスキルなどを活かせるキャリアと言えます。
ITコンサルタントについてはこちらをお読みください。
▶︎ ITコンサルタントの仕事内容とは?必要なスキルや目指す方法を解説
▶︎ ITコンサルタントに必要なスキル4選!仕事内容や向いている方も解説
自社で研究部門を持ち、IT技術の動向を調査・研究したり、プロジェクトに調査協力やアドバイスを行ったりしている場合、研究部門のセンター長にキャリアチェンジする選択肢もあります。
IT技術の動向を見据えてビジネス戦略を策定する重要な役割であり、プロジェクトマネージャーとしての経験やスキルを活かしやすいです。
プロジェクトマネージャーは、前述のとおりプロジェクトを統率・管理してシステム開発を進める重要な役割であり、高度なスキルが要求される仕事です。
IT人材の不足により価値が高まっており、将来性がある職業と言えます。
特に、AIのような最先端技術を扱えるプロジェクトマネージャーは、今後さらに需要が高まっていくでしょう。
プロジェクトマネージャーは、システム開発の責任者としてプロジェクトを統率・管理するポジションです。
プロジェクトを円滑に進め、顧客のニーズを満たす成果物を完成させるためには、さまざまな知識やスキルの習得が求められます。プロジェクトマネージャーは難しい仕事であり、転職難易度も高いです。
未経験からプロジェクトマネージャーへの転職を目指す場合は、資格を取得したりITスクールを受講したりして、必要な知識の習得が欠かせません。
ご自身のキャリアを広げるためにも、ぜひプロジェクトマネージャーとして道に挑戦してはいかがでしょうか。